2025/04/13 23:00
ベージュのTシャツ。
肌色のやつ。
難しい言葉だ、「肌色」。
色んな人と出会うたび、知るたび、定義が拡張されていく色。
ここでは一旦、僕の身の回りくらいの規模感で枠を立てますね。
せいぜい温かみを含んだベージュからアイボリー、その濃淡の範疇になるか。
汗が染みるのも厭わず、ある程度体の線を拾うヘルシーなフィット感。
言わば身体の延長線上。
但し、ケミカルを用いたセカンドスキンの流れとは全く別の感覚で。

BBQやフェスに1枚で着ていけるだけの
《Tシャツ性》を備えた個体。肌着とは違う。
なんて厳しく(?)探すと
せいぜい3着くらい。
・初期のWAREHOUSE(90's)
・全然人気が無かった回のF1-STAFF-Tee(e80's)
・GDCのTANAKA KEI グラフィックTee(00's)
今回は
【F1の全然人気が無かった回のスタッフT】
を料理します。

生地はヘロヘロ。
ミントコンディションだから見栄えは良いけれど、
クタクタに着古してしまっても美しいでしょう。
【CAESARS PALACE GP 1981-82】
英語読みなので“カエサル”ではなく“シーザー”です。
ラスベガス郊外 シーザーズ・パレスホテルの敷地を使用して開催された回のプロモーション品。

これは会場となったシーザーパレスホテルと走る躯体の遠近。マーチャンダイズとして販売された物はボディの前面のロゴが「DATSUN」であるのに対してスタッフ用個体は「NISSAN」。

スポンサーでしょう、VUSIC21というラジオ番組のロゴ。
件のGPが81-82年に開催されたもので、このラジオ番組も同時期の発足でありますから、当時の肝煎りのプロモーション広告であったことでしょう。同時代の浮かれ具合が強く刻まれた風体。

名門Anvilのブランチラインです。
商標名をそのまま素材名にも入れようとする図々しいポリエステルとコットンのハーフミックス。
ピンズを刺せばその穴が徐々に広がっていくであろう、弱々しい生地です。
この華奢さを限界まで加速させて色彩を取り去るとRick Owensみたいになります。
スリムボディと長めの着丈。
この時代らしいバランス。
タックインを前提としているのか、今なら裾をだるだるに撓ませてボトムスのベルト周りに不規則にクッションさせたりして。
これは肌色でこそ映える新しい美意識(?)だと思います。
自分の筋肉のように
自分の肌のように
自分の贅肉のように
生々しくそこにいてくれる。
ナチュラルに段落を変えて進めていきますが、この生々しさは今年から来年にかけて触れていきたい男性的な「健康」と「エロス」、ここにピタリ当て嵌まるピースなのです。(こんな贅沢な探し方をしているから中々集まらないんだよ)
ヘルムートラングが標榜した、躯体の透明化。
それは、ゆるくも確かにフィットするTシャツと細身のジーンズ。
そこにカルテらしい/僕らしい味付けをして
あくまで新しい楽しさとして作り込んでいきたいのです。
それは例えば こんな風

このTシャツを肌と見るのなら先ずは“裸で着たい服”ってのと合わせてみます。

Caribbean Blue Linen SH
カリブ海の美しい青を湛えた最高のリネンシャツ。
どんな服でも代替出来ない色味によるユニークネス。
こんな青が乗った洋服があるのか。
青を貴ぶこの国に生きていて尚、いやだからこそか、深く深く、ガツンと響いた色作り。
そして餅のような柔らかさと噛み切れないニラのような確かな繊維感。
これぞリネンだ。
大空にふわり放った時最も楽しそうに泳ぐのはこの生地でしょう。
ベージュと青の確かな相性。