洋服解読所













1987's PLANTATION in ISSEY MIYAKE Soft-Gray Cotton×Linen Pegtop
¥24,000 税込
残り1点
硯で摺った墨のような柔らかいグレー。
書道で使うような真っ黒ではなく、水墨画のような儚い灰色。
それが、コットン&リネンの柔らかい生地に乗っかってる、という格好。
コットン100だと ここまで枯れた風合いが出来なそうだし、リネン100だとプリプリし過ぎちゃう。
このテキスタイルに関しては、正にここぞ!という素材選定。
研ぎ澄まされた感覚の仕事。
他のプランテーションの多くもそう(例外アリ)であるように、このパンツも生地が主役。
ゆとりのある腿周りからシュッと、それこそ田の字の一画目みたいに縦に落とすテーパード。
足首でジャスト丈だって綺麗だし、クッションさせたってまた美しい。
それこそ弘法の筆致のよう、トメもハライも思いの儘です。
キリが良いところですが、もう少し書きます。
ボディには、この素晴らしいテキスタイルより前に出過ぎないような、細やかながらユニークなディテールがあります。
それがウエストの両サイドにごく一部だけ寄せられたギャザーワーク。
これはボディのサイドパートに一枚増設されたセクション切り替えに準ずるもの。
基本のサイドシームは既にあるのに、更にもう一本サイドシームを入れてるんですね。
これで生まれる細腹パートのウエストにだけ、細やかなギャザーが寄ってる。
ウエストギャザーってのは簡単に言うと「タック/ダーツ の代わり」であることが多いです。
人体は「ウエスト一周」と「ヒップ一周」で寸法が違うでしょう。
ヒップに合わせた布をそのままウエストにも沿わせる時、少しばかり布を摘んでフィットさせていく……というのはご想像がつきますか。
この「布をフィットさせるための摘みディテール」こそが、タックとかダーツなんです。
で、ピシッと折り畳むんじゃなくて、ギュギュッと無理矢理縫い縮めて寸法を細くしていくのがギャザーという選択です。
で、このパンツは既にタックを選んでる!
件のギャザーの隣には一本タックが畳まれているんです。
だのに、そこでディテールを統一せずにタックとギャザーを一つのウエストの中に共存させてる。
意図なんて作り手以外にはなかなか分かりません。どこまでいっても推測。
でもこれ、テキスタイルデザインで繰り広げられた「コットン&リネンのミックスバランス」に通ずるものを感じます。
タックやダーツでピシ!
って感じでもないけど
全部ギャザーでふんわり……
ってのでもない。
その中間地点にこそ、このパンツのイメージ到着予定地はあったのでしょう。
そう見ると、有りとあらゆる点での折衷をグレーという中間色に宿したのは、つくづく巧いデザインだよなぁと。
座布団も作ってくれ。
Made in JAPAN
サイズ表記M
ウエスト:73
ワタリ:35
股上:29
股下:74
裾幅:16
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レビュー
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