洋服解読所
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1980's TAKEZO Asymmetry Cut Leather Trench
¥85,000
“日本を代表するデザイナーの筆頭” こう書くと何人か挙がるでしょう。 どうも素敵な国に生まれ落ちたことです。 そこに恐らくなかなか名が出ない不世出の鬼才 Takezo Toyoguchi。 あぁ、こんな紹介、いつかされてみたいですね。 幻のSix man、裏番長、影の何某……。 こっちから知ろうとしないと知れない存在。 向こうからアピールしてくることなんて一切無い。 誰も彼もが様々な情報を投げかけてきてくれる現代、こんな存在にこそ惹かれてしまう。全くどうしようも無い。 弊店ではオンライン/オフライン共に何度かご紹介していますこのレーベル、今回は初めてレザーコートと縁がありました。 言わずもがな特級。あんまりに格好良い。 キリッと精悍なブラックスムースレザーは張りのある牛革。 その牛革が綺麗に形作る端正な襟周り。 なんて美しい切れ味か。 トロリ柔らかなラムレザー辺りで作るのではなく、このレザーでこそ作る意味のあるデザインですね。 セットインスリーブのアームホールを飛び越える異様なレングスのエポレットを見ても、これはこのレザーでこそ輝くアイデア。 そしてこうしたレザーで作るオーバーサイジング、どう落ちるかご存知でしょうか。 ある程度形を保ったまま、それこそ繭(コクーン)のように身体の線を一切拾わないアンフィット・シルエット。 そしてこの広い身巾は着用者が下ろした腕(袖)に押し出されることで前後に流れてシルエットを作ります。 前から見ると普通のちょいゆるコート、しかし横からみるとその大きな分量設定から成るダイナミックなシルエットデザインが正体を現す、という仕組み。 1枚目の記録写真をサイドビューにしているのは、なにも奇を衒った演出ではなく この服/このデザイン の本懐へのアプローチなんですよ。 Made in JAPAN サイズ表記- 肩幅:60 身幅:66 着丈:92 袖丈:54 裄丈:86
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c1990's LAMATTA Beaver_Fur Switched Mid_Length Leather CO
¥70,000
皮革衣類の最高峰のひとつラマッタの仕事。 大人のレザーコート。 「大人のレザーコート」って言葉は 「大人になりたい人のレザーコート」と似てるけど違う。 僕はいつまでも大人になれた実感が足りないからどうにも説得力に欠けてしまうんじゃないかと不安が拭えないのだけれど、多分「視点」が違うんです。 大人から見た「自分たち」と 子供から見た「大人たち」は違う。 前者だからこそのリアリティもあるし 後者だからこそのキラキラした憧れもある。 でも始点は同じだと思うんです。 「カッコよくなりたい」って気持ち。 安さとか防寒とか取り扱い易さの観点で見ると、もっと優秀なアウターがこの世に幾らでもあります。良い世の中ですよね。 そんな中で、心のトキメキのままに最高のものに手を伸ばす人もいて、その尊き欲求に相応しい物もある。良い世の中ですよね。 そう、例えばそれはトロトロのラムレザーで仕立てられていたりして。 トロトロに溶けたチョコのように深く柔らかなブラウンで。 細くもなければ太くも無い、短くも長くもない、そこに恣意的な偏りを置かないニュートラルで。 裏地には丈夫で滑らかなキュプラ×アセテートが用いられていて。 裏地は着脱可能で、おや、そこには贅沢な毛皮が。 しかもそれは特別柔らかくふわふわなビーバー/ヌートリアの毛皮だったりして。 そうそう、ビーバーなど水辺の動物の毛皮というのは冷たい水に体温を奪われぬよう極めて密集した「綿毛」が生えています。 身体保護のためにある硬めの「刺毛」との2層構造。 こうした洋服に使われるのは前者、ずば抜けた柔らかさを誇る「内側の綿毛」のみ。 ついでに、着脱式の襟もこの毛皮で仕立てられていますね。 この襟の着脱システムの作り込み一つ取っても作り手の配慮の量が段違い。 配慮、つまり優しさです。 より良くしよう とか より幸せにしよう とか。 デザインって優しさです。 ライナーの優しさも凄いですよ。 本体の裏胸ポケットにアクセスしやすいように同位置にスラッシュを作るんですがそこを丁寧にレザートリム。 その造作もとっても豪奢。 片方から見れば静かな玉縁、もう片方から見れば玉縁布をそのまま繋げて作られたゴシック調子の装飾。 これら何処にも革のエッジを出さない完璧な仕事。 ごく小さなディテールでこれです。 ディテールは時として全体像より雄弁に作り手の心を語ります。 著名なデザイナーを採用せずチームとして運営されるファクトリーレーベル(一時期Ferreが居たそうですが)だからこそのニュートラルと、偏った世界観が無いからこそ丁寧に作り込まれるディテールワーク。 大人を知らないヤンガンが憧れで着るのではない、大人になって出会ったときに「まだ私が心踊るものがあったのか!」と思わせてくれるレザーコート。 言いたいこと、伝わっていると嬉しいのですが。 Made in ITALY サイズ表記52 肩幅:52 身幅:62 着丈:85 袖丈:61
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90-00's LAMATTA Chocolate Brown Mouton CO
¥55,000
SOLD OUT
ラマッタのレザーコートです。 私はラマッタが好きです。 そう言えば僕はラマッタの服は持っていないけれど、ラマッタが作ったFerreのレザーコート(ロングジャケット?)は持っています。 そんなもんです。 一家に一着あれば良い…というか、あればその時点で贅沢でしょう。 このレザーはムートンです。 表地にはムートンの裏面(スエード面)をそのまま。 裏地には主役のムートンヘアをそのまま。 そう、一枚の革があってそれをそのまんま使ってる仕様です。 なので「表地」「裏地」という概念はあまり適切ではないんですよね。分離されていません。 こういう時は「表面」「裏面」でしょう。 でも「ひょうめん」と読まれてしまうのが怖いから、たまに「オモテ面」なんて表記をしてしまいます。 ちょっと私の話をし過ぎでしょうか? でもこういうプロダクトクオリティで突き抜ける系の服ってのはね、その輝かしきクオリティを事実としてつらつら書き並べたところで、どうも無機質になり過ぎてしまうように思うんです。 もっと主観というか、それを見た人間(私ですね)のオーガニックなアレコレがあった方が実感が湧くように思うのです。 そんな訳で、着てみました。 コートとしては中庸なミドルレングス、重いかと思いきや見た目より軽いですね。 でも「レザーを着てる」って感じの心地よい重量感もちゃんとある。 言うまでもないことですが、柔らかさも凄まじい。 もとより上質なものを丁寧に丁寧に鞣されています。 さて1番言いたい事も書いておきましょうか。 「しっとりしてる!」 これです。 巷に溢れてしまったフェイクムートンって素材は軽くて暖かいけれど肌の水分全部持っていかれる感じがしませんか。実際そんな事実は無いはずなんですけれど。 静電気か何か、全身にしっかり帯電完了しちゃう感じ。 あれ嫌ですよね。 私は割と普通の家庭なので電気とか慣れていないんですよ。 その点リアルムートン-いや、特にこの個体-は、モイスチャーバランスが非常に秀逸。 毛並みも非常に滑らかなのでセーターも不安無く挟めましたね。 袖部分にだけツルツルの化繊ライニングが仕立てられてるのも最高! フロントは小物入れる腰ポケットと手を温めるマフポケットの4つ仕様。 裏面には綺麗なスムースレザーで作られた使い易いジッパーポケット。 ここはちゃんとririです。 肩は綺麗に柔らかく落ちるのでオーバーサイズでの着用もサマになります。 男女問わず心から推奨出来るハイエンド。 過度にインナー着込まなくて良いので中で仕込む可愛い服が薄着でも大丈夫……ってのも、人によってはかなりアドバンテージでしょうか。 男性ならエスニックなベスト(DriesとかKenzoとか)なんて洒脱でしょう。 女性ならタートルネックにベルトや巻物絡めたアクセサリー遊びとか。 Made in ITALY riri zip サイズ表記52 肩幅:57 身幅:65 着丈:90 袖丈:65
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Late90's BEAUTY BEAST ALSO Color_Blocking Design Hooded Felt Coat
¥55,000
90年代後半、BBが数多世に放った傑作の一つ。 アウターはなかなか出会えない印象です。 ポリエステル100%の、決して重厚感とか高級感は無い素材選び。 ただ、強かな“新しさ”の前にハイ&ローのゲームシステムは権力を持たない。 まるで建築資材にでもなりそうな野暮ったいフェルトは不規則なリズム感で遊ばれたカラーブロッキングの一手で一気に何やらモードっぽい雰囲気を宿し始める。 両肩に補強ヨーク?しかし色も形もアシンメトリー。 フロントに前立て?違う、アレはボタンフライの見返しを可視化するインサイドアウトだ。 様子がおかしいですね。 さぁその雰囲気を補強するのはカッティング・セクションの本格的な作り込みです。 まるで昔のヨーロッパの服でしょう。 テーパードシェイプと共にグッと前に振られたクラシックな袖作り。 そう、柔らかさを武器にしていないチープなフェルトだからこそこの製図の美しさは強調されたのです。 予定調和に塗れた価値ゲームの打倒です。 決定打になったのはフロントを開けようと前端に掛けた両手。 普通の服ばっかり触ってたら一生出会う事の無いボタンが鎮座しています。 何に使うねんってレベルで大きいスナップボタン。 今あなたが飲んでるコーヒー、そのカップの底面くらい大きいです。 そしてさっき触れましたフロントのボタンフライをカバーするようなインサイドアウト、ありますよね。グレーのパーツ。 あのパーツがフロントのボタンと対応して綺麗にボタン位置をカバーするのかと思いきや、全然そうじゃないんです。 グレーパーツのもっと外側までボタンはあるのに、じゃあなんでこのパーツはこんなサイズ感で? 良いでしょう。 既存のゲームシステムに頼らずとも、アイデアの多さと柔らかさでハイエンドをひっくり返すデザイン。 ファッションデザイン、こうでなきゃ。 これが無いとただの資本ゲームになって終いです。 そういう意味で今、改めてとても良いのではないですか。 チープな生地、ユニークなアイデア、卓越したカット。 カラフルな積み木で作るギリギリの牙城。 Made in JAPAN サイズ表記3 肩幅:42.5 身幅:60 着丈:112 袖丈:66
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e2000's NEIL BARRETT Super Minimal Cut Hooded Coat
¥56,000
初期of初期、最初期のニールバレットより、ミニマルに研ぎ澄まされたコートのご紹介。 弊店では有難いことにもうお馴染みでしょうか、フードをファスナーで取り外し出来て、脱いだ後背負えるハングストラップがデザインされたシリーズ。 極細のバンドカラーや極細のウエストベルト&ベルトループ、ポケットのファスナーを隠す部分でさえ極細。 徹底的にミニマムに削ぎ落とされています、緊張しちゃうくらい神経質なデザイン。 これとよく似た個体がカルテにあります。 そっちはレディースなんですが、こちらはメンズ。 どっちにしろ細身。 L90'sのPRADAそのまま、みたいな印象もありますけれど、いやいや違うよと。 こっちの方が更にミニマルです。 初期のニールバレット-それも特にアウター群-を目の当たりにすると、彼がPRADAに持ち込んだ美意識はPRADAに向けてバランス良く調整されていたのだと痛感してしまう。 本当にやりたかったのはここまで徹底したソリッドだったんだ、と。 僕の好きなポイントも聞いてくださいますか。 肩ダーツの裏面の別布カバーリング、これなんて凄まじくクリティカルです。 肩ダーツなんて精々1cmくらいの小さな小さなマニピュレーションなんです。道行く誰にも見えない規模。 そんな箇所に丁寧にライニング感覚で裏張り。 それは宛ら、花瓶に生けた花の弁ひとつひとつにシルクの裏地を付けていくような美意識。 袖口ベルト裏面にあしらわれた保護パーツの製図には、メンズのドレスパンツにおけるヒップポケット製図の仕組みが応用されていますね。 用が済んだらそこで終わるのではなく、切りの良い位置まで伸ばし切って包んでお仕舞い。 合理的でトラディショナルなディテールやシステム・センスが骨子に染み付いていて、それを軽やかに応用し回せるデザイン・スキルが並び立ってる。 ここまで見ていくと、彼をコピー出来た作り手なんて世のどこにもまだ居ないのだと思わせてくれる。 最後に大切な事を付け加えます。 彼のソリッドもミニマルも、それらは“服の細さ”に依存したものでは決してない、ということ。 ここだけ努努強調してアーカイブの締めとします。 Made in ITALY LAMPO Zips サイズ表記 S/46 肩幅:46 身幅:55 着丈:78 袖丈:65
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2001F/W NUKE by 3rd-STONE Graphic Printed 4P Tactical Coat
¥85,000
サードストーン社から数年だけ展開された日本のマイナーレーベル、NUKEのモッズコート。 土埃に塗れたようなアッシュカーキが最高にクール。 今や誰もが知るメガレーベルであるJULIUSの前身とされるレーベルですが、どうもJULIUSのスタートと同時にピタッと切り替わってる訳ではないみたい。 お互いフェードさせながら被らせてのスイッチですね。 後の作品に通ずるような退廃的な世界観、ストリートでもランウェイでもない所から滲み出るように台頭してきたオリジナルのディストピア・デザイン。 そしてJULIUSと明確に違うのは、プレインターネット時代特有のグラフィカルなアプローチ。 このコートは背中の真ん中に印象的なグラフィックとシーズンテキストのプリント。 コートの背中の中央にプリントが入ってる。これがこのレーベルのアティテュードを説明するに最も適切なセンテンスではないでしょうか。 そして、この両要素が喧嘩せず綺麗に混じり合っていること、これこそがJULIUSとは違うNUKEの魅力。 現代ストリートファッションの隆興と共にY2K.を振り返った時に一際鮮烈。 その時代からしか発生し得ない確固たる空気感は、現代において尚カルト的人気を博すに充分。 N-3Bみたいに筒の長いフード設計、切り替えを多用して最早工業的に立体感を持たせた袖のカット、そしてアナトミカルでありながらも探すと意外と無いユニークなポケットポジション。 レア物大好きな僕も、流石に次出会う自信は無い。 Made in JAPAN サイズ表記M 身幅:64 着丈:85 裄丈:86
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1983s PLANTATION in I. MIYAKE Oversized Primitive_Woven Coat
¥80,000
SOLD OUT
弊店で取り扱うPLANTATIONは全て一定以上の水準の物に厳選しています。 そもそもの選定基準がハードなので、そりゃそうなのですが……そんな中で久し振りにご紹介出来る、頭ひとつ抜けたスペシャルピース。 81年の設立から2年目、1983年の作品です。 この年代ってだけでもう本当出て来ない。 その上で超コンセプチュアルなアウターとなれば、言うにあらず。 岩山の肌をなぞるようにザラリ起伏に富んだ、極めてプリミティブな風合いのウールテキスタイル。 何か色々混ぜられてます、多分とても複雑なことをしているのでしょう……。 そう、何と言ってもこのテキスタイルの途轍もないパワー。 これだけをぐるぐる巻いてランウェイを歩けば勝手に喝采が降り注ぐだけの禍々しいエネルギー。 バブルの喧騒に真正面からぶつけられた侘び寂びの爆弾。 このテキスタイルを兎に角贅沢に特大分量で身に纏いましょう、というのがこのコート。 兎に角デカい。 装飾も機能も最低限。 ボタンすら無し。 用尺問題を解消すべく途中で1箇所接ぎ目が隠れてますが、物干し竿で袖を貫いて干せるような袖山無しの完全平面。 脇下にはタップリ分量を足してのドルマンスリーブ。 最早イカコートみたいな迫力。 至る所に平面性の限界突破を試みる製図が為されています。 裁断効率ガン無視、シームレスの理論値みたいなパターンワーク。 そして個人的に怖いのは、これだけ凝った生地/凝った作りのオーバーコートなのに「洗える」ってこと。 洗濯機にブチ込めます。 PLANTATIONについてのステートメントを書いた去年、そのテキストには「洗濯機で洗えないと駄目だ」という三宅デザイナーの衝動を紹介していました。 このコートは設立初期も初期の個体ですから件の意識が強く強くプロダクトに反映されていますね。 ペカっと整えるアイロンワークなんてどこ吹く風。 そもそもの豊かなシュリンクテクスチャそのままに、ガバッと羽織ってドカッと靡かせて、鯔背に着流してくださいませ。 何かこう、帯代わりのベルトを巻いて和服を意識するのもまた乙ですよね。 同時期の古い布ベルト、用意しておきますね。 Made in JAPAN サイズ表記M 肩幅:- 身幅:78 着丈:121 袖丈:- 裄丈:81
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1986's PLANTATION in I. MIYAKE Fancy Woven Super Oversized Coat
¥95,000
SOLD OUT
プランテーションの特大コート。 と〜っても大きい。 何せ着丈が132cmもあります。 80'sプランテーションで全然出会えないLサイズであることを差し置いても、大きい。多分これのMサイズがあったとて、大体こんな寸法でしょう。 こんな大きい服ですから、生地選定は肝要ですね。 採用されたのは、江戸時代から引き揚げてきたような土着的で素朴な子持ち縞柄。 グレージュ×チャコールの太巾ボーダーと、その間に挟まるブルーパープルとエメラルドグリーンの糸。 こういう、太い縞に細い縞が追従する縞模様を子持ち縞なんて言います。 清貧の中にある豊かな煌めきを可視化したかのような美しいテキスタイル。 侘び寂び一辺倒ではなく、その美意識を基点に独自の解釈やビジョンを重ねたデザイン。 大きなポケットも綺麗に柄合わせされていますね。 そのポケットの中には品質タグと予備のボタン。 ………この時はまだ、ここにタグがある意味が分かりませんでした。 普通のことですよね?ポケットの中にタグを付けるなんて。 リバーシブルにデザインされた洋服なんかは必ずそうですし、そうでなくとも内面への拘りの強い作り手は内タグを別箇所に綺麗に隠します。 だから、このコートもそういった理由でタグをポケットに隠したのだと思っていました。 冒頭で僕は着丈について触れました。 後ろ襟ぐり中心から裾まで、132cm。そうですね。 次は身巾を見てみます。 なんと100cm。凄い!大きいですね。 この寸法を測るときの違和感。 脇線が無かったんです。 仕方無くアームホールの釜底中心同士を計測しましたが、よく考えると脇線が無いってのはおかしい。 だって100cmの身巾ですよ。胸回り一周が100cmではなく、身巾で100cm。つまり、一周なら200cm。 フロントはダブルブレストで深く合わさっていますからそこから更に数十センチのプラス。 それを脇線無しの丸胴仕立て? 背中心にもシーム無し、左身の前端から右身の前端までず〜〜っと接ぎ無しの一枚布。 だから品質タグを挟み込むタイミングが無かったんですね。 通常世に出回る「布/布帛」って精々ダブル巾(150cm)が限度です。 百歩譲って耳を落とさずに生地を全面使いしたとしても150cm。 さあ、このコートは一体どうやって作られたんですか? - と、こんな感じで面白く眺めていました。 実際のところ着丈の132cmがヒントでしょう、耳を落としての生地巾マックス使いで横向きに使っている……というのがおおよその顛末かと思います。 つまり、この布はボーダーではなくストライプだった。 そうであれば袖まで完全に縞模様の向きが揃っていることにも合点がいきますね。 Made in JAPAN サイズ表記L 肩幅:74 身幅:100 着丈:132 袖丈:50 裄丈:86 身長は最低でも160cm必要です。 階段やエスカレーターにくれぐれもご注意のうえお楽しみくださいませ。 左ポケットの外端、少し生地にダメージがあります。 小さいですが、ご留意ください。
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1980's RUFFO × M&FG Brown×Crimson Leather Cutting-Edge CO
¥90,000
SOLD OUT
Ruffo社製レザーを舞台に繰り広げられたM&FGのカッティングエッジ。 本気で攻めた果てに出来たであろう奇抜なヌバック、じゃあデザインはこのデュオしかいない。 時代の綺羅星、マリテ&フランソワ・ジルボー、 テーラードジャケットとしての基本的なラペル製図を放棄して、ラペルの裏側から構造を構築することでラペルシステムを発生させた裏ワザ。 このラペル、別にクルリと返って裏面を見せてくれている訳ではないでしょう。 身頃のオモテ面からずっと地続きでラペルまで繋がってる。 存在する言葉で喩えるならば- -ラペルの端線を深く掘り削ることで逆説的に襟を浮かせる、みたいな感じ。 そしてその掘削作業/掘削箇所を強調するため、塹壕部分には鮮血みたいに真っ赤なスムースレザーを宛てがう。 否が応でも構造に目が行く。 流石のジルボーも、強調せずにはいられなかったのでしょう。 こんな途轍もないカッティングに辿り着いたらそりゃ自慢したいですよね。 どれだけ長く図面の世界に潜水していたというのか。 なんか、ここにクリムゾンレッド選んじゃったが故に魚の鰓みたいなビジュアルに着地してますね。 好き嫌い分かれるけど、刺さる人にはめちゃくちゃ刺さるでしょ。 ちなみにステッチはグリーンです。 当時のハイファッションシーンですらこのディテールに再現性は見出せなかったんじゃないかな。 多分この襟パクれた人いないでしょう。 それくらいアクロバティック。 ちなみにちなみに塹壕の最奥にはフードが収納されています。 80年代に展開されたRUFFO × Marithe & Francois Girbaudの公式ダブルネーム。 当時から出回りは極小数ですが、それは現代では尚のこと。 時間の流れという最強のフィルターに頼らずとも最初から圧倒的な稀少性を誇る最高の古着。 良い古着、定義は人の数だけありましょう。 カルテはこういうものを「良い古着」とします。 古着って言葉はこのシステムの名前でもある。 大きいサイズです。 オーバーサイズで着るってよりは、ある程度は大柄な男性にドカッと着て欲しい。 Made in ITALY サイズ表記- 肩幅:59 身幅:63 着丈:94 袖丈:59 裄丈:90 肩パッドは抜いていません。 多分あった方がカッコ良い。 もし無い方がお好みであれば、すぐ切除出来ます。 裏地の裾はふらし始末なので専門技術不要です。
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2000's WENDY&JIM Detachable Stole_Collar Wool Coat
¥45,000
SOLD OUT
このタグに出会っただけで小躍りしちゃうくらいには好きなレーベルです。 オーストリアのWendy&Jim。 球数の少ないオムライン、しかも滅茶苦茶クールなディテールがデザインされたロングコートに出会えました。 そうです、大踊りしています。 ウインドミルしながらこれを書いています。 中心をオフセットしたアシンメトリーなフロントライン。 完璧に組み立てられた精悍なテーラードショルダー。 斜めに傾けられた切れ味抜群のウエストダーツ。 そのダーツに接続する端正な両玉縁ポケット。 もう、メインパートが存在しなくても既にウットリしちゃうだけの完成度で仕立てられたビューティフルコートです。 でもここにメインパートが乗ります。 それが丁寧なテーラリングの延長線上として組まれたストールカラー。 そう、これは先ずオーセンティックな襟の製図の上に成り立ってるんです。 キチンと想定台襟があって、襟の返りと襟の立ちを綺麗に設計してからの襟延長。 しかもファスナーで着脱可能。(外す日は来ないと思いますけれど) まるで大黒柱のようにストンとフロントに流れる大きな直線は静謐なコートにインパクト抜群の視覚効果を相乗してくれます。 垂らすだけでもう完成品。 しかもこれは巻いても可愛い。 フロントでくるっと一巻き、なんてのが僕のお気に入りです。 ピリッと緊張感のあるビジュアルに優美で有機的なリボンドレープがプラスされて出来上がるムードは唯一無二のアンドロジナス。 お察しの通り、完全にユニセックスでご提案出来る服です。 ニッチなカジュアルを売るラックの隣で、全く同じテンションでこういう綺麗な服も売ります。 良い服の全てを愛しているので。 スタイリングもお任せくださいね。 Made in Austria サイズ表記46 肩幅:47 身幅:50 着丈:102 袖丈:70
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1995A/W PLANTATION in I. MIYAKE Airy_Mint Wool Hooded Coat
¥50,000
オリジナルとしては最終期、タグも青文字になった時期のプランテーション。 弊店では紹介機会の多くないレンジですが、このクオリティであれば大声でご紹介致します。 最高です。 淡い淡いミントグリーンの柔らかい縮絨ウール。 もうこの生地の時点で何作っても可愛い。 それで仕立てるのがゆるっとルーズなフーデッドコート。 大きいボタン、大きいポケット、大きいフード。 オーバーサイジングの魅力を徹底的に煮詰めるような丁寧なディレクション。 さあ、ゆるっと被った可愛いフード、このフードがこの服の大トロです。 フードって何枚かのパターンを組み合わせて縫うことで「平面の布」を「球形の頭部」に沿わせているんですが、その縫合に使われているのがと〜っても華奢なハンドステッチ。 しかも一針毎に結び組むような凝った意匠。 ただの千鳥掛けとかじゃないですね。 こんなデリケートな縫製、ボディで採用しちゃうとすぐ壊れてクレーム電話のA・RA・SHIでしょう。 そんな訳でフードのこの部分ってのはマジで完璧な配置だと思うんです。 ・何の荷重も掛からない ・でも1番目立つ (写真にも撮りやすい) ・被っても降ろしても隠れない 完璧でしょう? 気を付けるべき事と言えば、キンキンに尖らせたモヒカンをセットしたままこのフードを被らない事です。それだけ。 モヒカンをキンキンに尖らせる人はプランテーション着ないと思いますが、モヒカンをキンキンに尖らせる人がプランテーション着るのもまた新しくて素敵な可能性があるので、一応注意書きを致します。 僕個人としてはレディにゆるっと可愛く着て欲しいです。 真冬にも頼もしいってほどの分厚さは無いし、裏地も無いし、そこまでバッチリ暖かい服ではありませんが、この可愛さに免じて、どうか上手くやってください。 Made in JAPAN サイズ表記M 肩幅:51 身幅:65 着丈:75 袖丈:56 裄丈:83 wo80/pl20
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L80's HIPPOLYTE Ex_Soft Lamb Leather Hooded Coat
¥70,000
フランスレザーの王-SERAPHIN-がバブル時代に展開したブランチレーベル。 このレーベルはフォーマルとかドレスとかではなく、比較的カジュアルなレンジの外套を作るイメージが強くあります。 但し品質に一切の妥協やグレードダウンを無しに。 これが何を指すのかと言うと 世界最高峰のレザーウェアをカジュアルレンジでも作れる、という余裕です。 誰もの目に眩しいドレス・テイストで最高峰のレザーを使うのは、まぁ分かる。 縁の無い世界だけど、まぁ理屈は分かる。 でもこんな ・身幅がルーズで ・ポケットにジップが付いてて ・ステッチが見える位置に出てて ・ネックラインにフードが付いてて ・そして(コートとしては)丈が短い と、つくづくカジュアル。 こんな服にさえ贅を尽くすこと。尽くせるということ。 それがこの時代を象徴していると思います。 マテリアルは、モチモチでトロトロのラムレザー。 触り心地は墓石並にツルツル。 なのにマシュマロ並にソフト。 自然界の何かで喩えることが出来ない。 これは人類の叡智と情熱の結晶であり、光であり、闇であり、業である。 もう作られることは無いであろう、時代の遺物。 フロントジップは少し真ん中からズラしたオフセット・デザイン。 煌びやかに走るririはダブルジップ。 オフセットのおかげで少し面積の広がった左前身頃には同じくririジップで胸ポケット。 そしてその先、左のアームホールにもririジップが光ってる?何これ。 袖が外せるのでしょうか。 否。 これは(これも)ポケットです。 身頃のパネル切替線とか、ヨークの切替線とか、構造線にポケットを仕込む構造はまま存在します。 でもアームホールのシームにポケット仕込む人は初めて見た。 アームホールって曲線よ? なんだその発想は。 確かに可能ではあるけども。 感覚としては左袖に乗っかりがちなシガーポケットを縫い目に隠し込むような感覚なのでしょうね。 ドロップショルダーだし。 本当にライターくらいなら入るだけの容量があります。 こうした究極のハイエンドって、クオリティそのものがコンテンツだからあんまりデザインとか捻らない。 でもこのポケットデザインはあまりにユニーク。 ビジュアルは派手じゃないけど、アイデアは滅茶苦茶に奇抜。 ここまでやってくれる個体があるのか。 この個体は比較的コンディションも良いです。 所々微細なスレはありますが、そのクオリティを曇らせる程ではない。 Made in FRANCE (SERAPHIN) riri_Zips サイズ表記48 肩幅:65 身幅:60 着丈:83 袖丈:56 裄丈:90
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c90's ADOLFO DOMINGUEZ Silk_Wool Airy_Fit Duffle Coat
¥40,000
SOLD OUT
以前、古いオリジナルレンジのシャツを嬉々としてご紹介したスペインのレーベルです。 アドルフォ・ドミンゲス。 あのシャツを紹介していた頃にはもうこのコートが手元にありました。 「絶対秋のポップアップで出そう!」とウキウキしながらシャツのテキストを書いていたんですよね。 こちらは今季大活躍中の「グレーのコート」です。 しかも、ルーズでたっぷりとしたシルエットのやつ。 同じようなポジションのコートを今秋はもう2着ご紹介しましたが、どちらもお迎えいただきました。 これが3着目でございます。 触った瞬間カシミヤ! って眼をかっ開いてしまうテクスチャ。 正体はシルク20%混ぜたウールでした。 マジ?それでこんなにスベスベになる? まぁ、タグに偽りは無いでしょう。それにしても凄い手触りですよ本当。 色味はほんのり藤色を感じるヘイジーアッシュ。 そんな素晴らしいテキスタイル、活かすのはこういうオーバーコートですよね。 肩幅60/身幅67あります。 アームホールもダブダブ。 フロントは首元の隠しボタン×1と、大振りなトグル×3だけで留める仕様。 そう、徹底的にエレガントを指向したデザインです。 だらしないルーズサイジングではなく、流麗に落ちるテキスタイルとそれらが演出する優雅な一挙手一投足を描いたオーバーサイジング。 ポケットも大きいしポケット位置も低い。 わざわざポケットに手を入れるために肘を曲げなくていい、腕を自然に垂らした位置にポケットがあるように製図されています。 どれもこれも、最初に生地があっての話。 贅沢な時代の贅沢な服。 何より贅沢なのは、買い手への媚びが一切無い(見えない)ところ。 ルーズな服なのに、服そのものが凛としている。 最高のコートです。 メンズの50ですが男女問わず、どなた様でも。 Made in SPAIN サイズ表記50 肩幅:60 身幅:67 着丈:98 袖丈:61
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1990's COLIN HARVEY Tartan_Check Fringe_Hem Duffle Coat
¥50,000
SOLD OUT
弊店ではお馴染みの……… なんて言ってみたいですね、90's U.K.のマイナーなデザイナーズレーベル“COLIN HARVEY”。 CSMにて教壇に立たれていたコリン・ハーヴィー氏によるシグネチャーレーベルです。 (ステラ・マッカートニーやフィービー・フィロを教えていた) 今冬はこの1着だけご用意がございます。 襟や裾に生地と地続きのフリンジを伸ばしたユニークなテキスタイルそのままを使って仕立てたショートダッフル。 ベージュを土台に水色と赤でタータンチェックを組み立てた、ナイロン無しのオールウール。 僕好みの、リズム感が気持ち良い配色。 (ふわっとした色を黒じゃなくビビッドカラーで締めるの大好き) こんな柄も、ダッフルコートのトグルも、定番のフリンジマフラーも、どれもこれも英国っぽいエッセンス。 だのに完成品はトラディショナルの欠片も無い独創。 英国さんはお伝統の国ですから、色んな要素がルーツに根差していてスタイルがある。 そしてその分、見慣れちゃう。 とってもカッコ良いけど新鮮味は薄れてきちゃって、僕みたいな多動症飽き性はすぐ吐き出しちゃう。 そんな中でこうも上手くミックスされたデザインと出会うと、反動で随分深く刺さっちゃいます。 ついでにこの服の裏面にはちゃんと内ポケットがあるんですが、その内ポケットがカジュアルなファスナーポケット。 この一点、かなりストリートウェアの香りを感じます。 ヴィヴィアンやマックイーンと同じく、英国に途方も無く深く根差した伝統と、だからこそ生まれる反骨精神をファッションに昇華出来たデザイナーの一人ですね。 そうそう、裏地は例の玉虫色です。 U.K.の服はこうでなくちゃ。 アセテートレーヨンにポリエステルの極薄中綿をキルティングしたライナー。 裾を縫い合わせない“ふらし始末”なのも面白い。 ボディ表地の裾をフリンジにしたからこうなってるんです。 生地のニュアンスをそのまま自然に揺らそうとした仕様選定。 こんな所の仕様一個決めるのも立派な「デザイン」。 一応コートとして取り扱いますが、結構コンパクトなサイズなので新しいバランス感覚お探しの方にも凄くおすすめ。 Made in ENGLAND サイズ表記S 肩幅:54 身幅:65 着丈:84 袖丈:56 裄丈:86
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1994A/W PLANTATION in I.MIYAKE Wool Switched Design Twice Collars CO
¥52,500
SOLD OUT
もうすっかりお馴染み、イッセイミヤケ社展開期のプランテーション。 これはオリジナルレンジの中でもかなり後期、94年の作品です。 前見頃はチャコールグレーのウールフラノ、後ろ身頃と袖はブラックナイロンで構成されたコート。 全く違う素材を使いながら、前後どちらかが片方の重さに負けたりしないように綺麗にボリュームを合わされた生地選定。 言っちゃえばナイロンの方が弱いというか軽いので、ウールフラノに負けないコシのある分厚いナイロンが使われています。 という事を言っています。 見所は要所要所で織り込まれたイッセイ社の名作「イカコート/ウインドコート」のセルフサンプリング。 件のコートのアイコンディテールといえば ・立襟と羽襟のレイヤード ・袖タブを起点に深く畳まれた袖口タック ・MA-1のポケットみたいな斜めフラップ でしょうか。 その辺は全部踏襲されています。 ボディバランスもルーズに作っているものの、イカコート本家みたいな一枚断ちの特大ドルマンスリーブは封印。 ルーズバランスのセットインスリーブ製図です。 あくまでプランテーションらしく(?)、日常生活に歩み寄ったデザイン。 おかげで肩掛けのバッグが持てます。 本家の特大ドルマンは歩く道全てがランウェイになる代わりに、持てるバッグがちょっと限定されますからね。 その点は本当に使い易くデザインされています。 普通のコートの顔して、ふとした瞬間にDNAが顔を覗かせる……みたいなバランス感のコートです。 とっても使い易いですよ。 Made in JAPAN サイズ表記M 肩幅:56 身幅:70 着丈:106 袖丈:52 裄丈:80 寸法だけ見ると大きめですね、でもこれはルーズにゆるっと着てこそ可愛い服だと思います。 小柄めのメンズ、またはレディースへ。
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L90's M. OSTI PRODUCTION Classic_Shape Chesterfield CO
¥55,000
SOLD OUT
この人のデザインにしては大人しくって このレーベルだからこその変なテキスタイル。 これはOstiのオールドレンジを集めている人に向けた提案でもなければ、現代テックを求める人へでも、オーセンティックなドレスエッセンスを求める人へでもない。 前提、服として強くて、しかし誰っぽくもない、デザイナーズなのか60-70年代のミドルヴィンテージなのかも分からない、ふわふわした匿名性を求める誰かへのスペシャル。 結論から言うと 「化繊でウールフラノを作ろうとした感じ」の生地。 甘撚りのボサっとした糸で変な組成に織られた、見たことの無い織り目。 サージかと思えば綾目はジグザグに見えるし、ホップサックみたいな素朴な情緒すら感じる。 質の悪いウールかと思いきや、中身はポリ×レーヨンに3%のエラスタン。 ほんまに?? ストレッチが効く訳でもなく、表面にコーティングも感じない。 恐らく紡糸段階で糸に絡めたりしてるんじゃないかな。 多分全部の捻りが功を奏してるんでしょうか、至って普通の見た目なのに触った瞬間全く新しい感覚を想起させる仕上がりになってます。 これで仕立てるのが超オーセンティックなチェスターコートというのがまた。 つまりはこの生地の特性を浮き彫りにする狙いがあるのでしょうね。 しっかり肩から胸のエリアを硬めのパッドや裄綿などの芯材で構築的に固めて、端正に縫製。 60年代前後のイギリスモノみたいな美しさと、同時代のアメリカモノの野暮ったさが共存するバランス。 静謐と技巧を7:3で混ぜ合わせて作るミニマルなメンズ・オーセンティック。 これは何でしょうか。 そう、これはOstiの目に映っていたY2Kです。 マトリックスの世界観から少し彩度を抜き取って乾燥させたような空気。 多分97年の個体。 97年の発表なのか、97年に作って98年の発表なのかは不明。 Made in ITALY サイズ表記50 肩幅:48 身幅:60 着丈:105 袖丈:66 綺麗なコンディションですが背中心下部(ベントの辺り)に若干の色焼けありです。
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c80's EURO VINTAGE Yellow Switched Suede Leather JKT
¥45,000
ヨーロッパ製、名も無き(レーベル名見当たらない)レザージャケット。 今や弾けた絶世の好景気が物語る通り、現代ではなかなか手の届かないレベルの素材を集成して仕立てられた1着。 最早レーベル名も要らないくらい、トロリ柔らかな革質が全てを語ってくれましょう。 淡いイエローと軽やかなライトベージュの切替ボディは、まるで穏やかな日の海のよう、ゆるく不規則なカーブでの線取り。 フリーハンドか? また、フロントは第一ボタンを設けずに最初からオープンカラーのみを想定した潔い製図。 そんな意匠を存分に活かすべく、ムートンボアの付け襟が綺麗な状態で残っています。 淡いトーンのリズムの中、綺麗に全体を引き締めるブラウンのムートン。 ここまで絵に描いていたなら、「第一ボタンを閉じればフルボタンに……」なんて往生際の悪いデザインもしませんよね。 冬でも陽気に朗らかに、楽しそうな顔して(実際楽しくても/そうでなくてもね)お洒落する人のための服。 いくらこの時代とは言え、こんな素敵な配色で……となれば、クオリティに目を瞑って探したって如何にも出会えない。 そんな中での奇跡的な白眉。 イタリアン・レトロカジュアルのスウェットも、こんなレザージャケット合わせなら最高に楽しいでしょうね。 綺麗に残った裏地のキルティング仕様もとってもユニークです。 ここは着用者様のお楽しみ。 全箇所が見どころ。 Made in - サイズ表記50 肩幅:58 身幅:60 着丈:78 袖丈:59
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c9O's KRIZIA UOMO Wool×Camel W_Face Tailored CO
¥80,000
先日ニットウェアにて幾つか例をとって紹介したKRIZIA UOMOのクリエイション。 その白眉というか、洋服屋としての本気を感じるピースがこれ。 これはニットウェアみたいに幾つも出せません。 ウール×キャメルの柔らかなフラノを用いたリバー仕立てのコート。 2枚のファブリックを極めてミニマルに中縫いで張り合わせ、その縫製のみで全てを構築する狂気的な仕立て方法。 見れば見るほど、誰が出来んねんという気持ちが湧き上がりますが、ハイファッションの世界ではしばしば見かけることのある仕様です。 ただここで言うハイファッションというのは、なんと言うか、ガチのそれ。 僕も服がとても好きですが、古着屋をやっているうちはプロパーで買えるような日は来ないのでは無いでしょうか。いや頑張りたいところです。 さてUOMOラインならではのオーバーサイズ設計、KRIZIAならではの尖りすぎない余裕と貫禄のある優しいムード、この掛け合わせが本当に素晴らしい。 リバー仕立てをこの上なく活かし切るデザインが成された個体だと思います。 ヒラリ裾が翻った時の見え方、中にKRIZIAのニットを挟んでも破綻しないフィッティングバランス、一切奇を衒わずとも一目で伝わる情熱と偏執。 どこをどう切り取っても美しい、柔らかくも彫刻的な迫力のある一着です。 恐れ入りますがご試着の際は必ずお手周りのアクセサリーをお外しくださいませ。 Made in ITALY サイズ表記50 肩幅:49 身幅:57 着丈:122 袖丈:66
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90-e00's DEZERT Lightweight Fleece Mods CO
¥32,500
SOLD OUT
軽いフリースで仕立てられたモッズコート。 こんなの欲しかった。しかもチャコール。 ありそうで無い服。そういう服は、ありそうで無いからこそ現代デザイナーズのブルーオーシャンになるんですが、そういうのが時代に逆行するかのように出て来てくれるのがこのレーベル(のオールドレンジ)ではないでしょうか。 要所要所でモッズコートとしての堅牢なオーセンティシティを押さえつつ、しかしこの作り手の作品なので定番とは一味違う絶妙なツイストアイデアも隠れてる。 本当にバランスの良いコートです。 先ずは随所に張られた化繊系のソフトオックス。 フリースって生地はうまく落とし込むと新鮮な洋服デザインが出来ますが、そこまで丈夫な生地ではありません。 それをモッズコートに作り替える上で必要なタフネスはこのオックスフォードで補強されています。 ・ネックライン/前端 ・ウエスト ・ポケット ・フィッシュテール 辺りがそうですね。 こういう機能/用途の本筋になる位置の素材選びは洋服における骨格。 その骨に彩度を落としたアンニュイなモスグリーンを選ぶセンスも、とてもDezertらしい部分。 特に、フリース生地におけるスナップボタン部分なんてのはこうした補強が必須です。 幾らデザイナーズとはいえ、長く楽しめなければ意味がありませんものね。 気怠げなのにdécadenceに落ちない、しかしアウトドア的であるのに快活さの欠片も無い。 この服はこう、この生地はこう、Google検索で出てくるような凡庸な定説を痛快に打ち壊してくれる良いデザイン。 ちなみに僕みたいな性分の人間は、そのカタルシスにこそ魅力を感じているきらいがあるし、こういう服作る人も大概そうなんじゃないですか。 だからつまらない凡庸のことも憎からず思っていますよ。 Made in China サイズ表記- (S~Mくらい?) 肩幅:52 身幅:62 着丈:102 袖丈:63
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c80's LES COPAINS Extended_Edge Design Ex_Oversize CO
¥36,000
SOLD OUT
イタリアはボローニャの老舗ハイファッション・レーベル「Les Copains」より、この時代にしか生まれない変則デザインコート。 エクステンデッド・エッジ。 勝手に名付けてます、前端を大きく延長したカッティングデザイン。 ボタンやベルトを用いないフリーオープンの前端を、身頃一枚分くらい延長しています。 この延長分が無くとも普通のコートとして機能するところにこれを足しているので、その前端はタップリと余ります。 この大きな余剰分量を半ば“アクセサリー的”にドレープさせるというのが凡その着方。 何せ生地が素晴らしい。 ネイビーに少しパープルを混ぜたような瀟洒なダークトーン、こんな色のウール100%フラノ滅茶苦茶高いですよ。 この生地がそもそも何にも勝る装飾であるということです。 狙い通りに美しく靡かせるため、後身にも前身にも切替を入れない大判製図。 それを加速させるための前端拡張、というデザインの順番です。 正しく着ると打ち合わせの深いショールカラーになるのですが、人間が前を留めずに着る都合上、布は縦横無尽に動き回ります。 あまり固く捉えすぎず、「どこにどう靡いても美しいから適当でいいや」くらいでお楽しみください。 実際にそうですから。 Made in ITALY サイズ表記3 身幅:94 着丈:103 裄丈:86
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c90's PAUL SMITH (U.K.) Nep_Wool Felt Oversized CO
¥45,000
SOLD OUT
ヨーゼフボイスが用いたような無愛想で無表情なグレーをベースに、白や赤のネップが混ざったウールフェルト。 身の回りで言うと、防音カーペットみたいな色気の無い生地です。(流石にあれよりはずっと柔らかいですが) それをオーバーロックのみで、裏地を一切使わず仕立てたオーバーサイズのコート。 一般的に言うところの“ポールスミスらしい色彩感覚”ってのは鳴りを潜め、イギリスらしい鬱屈としたムードが前に出てきているように感じます。 こうしたオーバーサイジングのウールコートは昔のポールスミスがしばしば採用した雛形。 野暮ったくも素朴でイノセントなアン-ボディコンシャスは、80年代の毳毳しいパーティの終わりを印象付けるに充分なものでした。 希少性とは凡そ無縁な位置にあるこの素材だからこその切り替え無しの大判使い、そしてそこを走る工業的なステッチの相性が作る鈍いコントラスト。 永久に続く曇天のような重苦しい色彩とは対照的に、裏地を設けず縫製もミニマルに仕上げたルーズボディは至極軽やか。 何せこのコートには「身返し」すら殆ど無いのですから。 ……裏無しってのはまだ分かる、分かるというか、ある。存在します。 しかし、このように身返しまで廃して徹底的にミニマルに着地させるコートはそうそう出会えない。 出会えたとしても、その仕様選定に反してクオリティが伴った奇跡みたいな個体って殆ど存在しない。 この服の作り手のやりたいこと-デザインの本懐-ってのはここにあると思います。 何かボリュームのあるセーターやスウェットを挟み込むってよりは、この意外な落ち感をこそ楽しみたい服ですね。 ちなみに、モッズコート由来のフィッシュテールですら切り替えを入れずに綺麗にステッチトリミングされている部分なんかは僕の大好きなディテール。 Made in ENGLAND サイズ表記L 肩幅:58 身幅:70 着丈:110 袖丈:70
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2018S/S PHOEBE ENGLISH Color Switched Hooded Coat
¥27,000
デザイナーであるPhoebe ColemanがThe Shop at BluebirdバイヤーであるRose Eastonとタッグを組みスターしたPhoebe English。 2018年春夏メンズコレクションより、フーデッドコートのご紹介です。 薄手のコットン1枚で仕立てられた至って軽量なライトコート。 夏の終わりに直ぐコート着たくなるせっかちな我々に向けた一着ですね。 細身のラグランスリーブが示す通り、ゆるっと着流すんじゃなくある程度ジャストサイズでピリッと着る服だと思います。 デムナ・インパクトと殆ど同タイミング。 ギリギリ影響を受けていなさそうなクリーンなサイジング、今また気になります。 ネイビー×コバルトブルーのクールなツートンカラー構成。 これらをアシンメトリーに切り替えた変則的なビジュアル。 細かくチマチマと切り替えるんじゃなくって大判でドカン!とリピート無しのワンピッチ配置。 どこかモンドリアンっぽいリズム感。 白いパンツとか、或いは色物のショートパンツとか合わせてみたい。 そして最も面白いのはフード部分のドローコードデザイン。 こんな華奢なテキスタイルには似つかわしくない程に太いドローコード、これは最早ロープか。 これを一本普通に通すのではなく、トンネルの出口でUターンしてもう一度隣のトンネルを通って帰ってくる。 文字通り本当にUの字に通されたデザイン。 不相応に強いインパクトを獲得したドローコードがボリュームとパッカリングで首回りを彩る様子は、往年のベルンハルトのフーディデザインを思わせますね。 2010年代後半、何か新しいモノが生まれる予感に満ちていた時代のオルタナ。 メンズラインですがこれはレディースにお薦めしたい服です。 Made in ENGLAND サイズ表記XS 身幅:51 着丈:91 裄丈:88
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c80's FICCE RAZZA Emerald_Green Melange Linen CO
¥99,000
エメラルド・メランジのリネンコート。 凄い生地ですね。 光やら水やら風やら、何か美しい光景があったとして、それをインスピレーションソースとしたような、そんなレベルの情緒ではない。 もう、この生地自体が“光景”です。 光のような/風のような生地がある、ではなくその逆、この生地のように美しい光景が、何処かにある(かもしれない)、みたいな水準。 この布一枚を身体に巻き付けて着ていたとしても無二の美しさがありますところ、コートになった姿は更に美しい。 生地が良過ぎると生地から先のデザインが生地に負けてしまうリスク(なんて贅沢な……)がありますが、このコートのデザインはこのクオリティの生地でこそ釣り合う。 大きく分量を取ったダスターコートをベースに、類い稀なるディテールデザインが炸裂しています。 先ず目に付くのは腰ポケットをボディから吊り下げるような独創的なポケットシステム。 カーブの向きは普通のハの字の逆。 胴体の外側から内にカーブして落ちて来る曲線。 何を見て何を感じてたらこのカットラインを思い付くのか。 しかも、このポケット吊り下げで発生するギャザーは作り手側で予め用意されています。 ボタンホール付近のフラップを外すと露見するのは、入るはずのドレープを予見して入れられたステッチギャザー。 後身サイドウエストのベルトタブでも同じディテールが隠されています。ニクいね。 そしてこのコート、ベースになっている服がダスターコート以外にもう1着ある気がします。 それは「ジャンプスーツ」。 フロントの前端ライン、変な形じゃないですか? ウエスト辺りで一回終わろうとして、もう一回前端ラインに戻ってきたような……。 これはパンツのボタンフライの部分的サンプリングだと思います。 ここだけスラックスの打合せみたいに内ボタンも追加されていたり、パンツのフロントを思わせるディテールを巧みに混ぜ込んでいます。 直接的なカット&ペーストではなく、間接的な暗喩。 選ぶ要素がどれもクール極まりないし、それを取り合わせて編集するセンスも尋常ならざる水準にある。 正直、このコートにこのタグ?と思うくらいには、レーベルのイメージを覆されました。 とことん技法に凝り尽くしたようなド派手なアシッドニット、アレが最早コマーシャルピースだったんじゃないか。 その影で、こんな弩級の婉麗を。 どなたでも、お好きなように、お召しください。 ドカンと風のまま靡かせても 全て閉めて造形を堪能しても どの道感動が尽きません。 Made in JAPAN サイズ表記M 肩幅:61 身幅:72 着丈:126 袖丈:57 裄丈:89 ・前裾端に軽微な汚れあり
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1980-90's GIANFRANCO FERRE Shirt-ish Tailored Airy Soft Leather JKT
¥126,000
ラマッタ社製、最高水準のレザージャケット。 この服の素晴らしい所はクオリティだけじゃない。 その発想感覚そのものが他のどの服とも違う。 「レザージャケット」ってやつには 余程カジュアルな物でない限り、大体「裏地」がありますよね。 革の裏面-つまりスエード面-はザラザラしていて、インナーのシャツやセーターを擦って傷付けてしまう恐れがある。 で、その裏地って大体「総裏仕立て」です。 表地と裏地の裾同士をキッチリ丈合わせして縫合されます。故にどこにも隙間は無い。 このレザージャケットではその「当たり前」を覆しています。 「総裏仕立て」なのに裏地裾を縫い合わせず「ふらし」で始末。 しかも前端までもを「ふらし」で始末。 裾は百歩譲って分かるとして、前端までもふらし始末ってのは? これは裏地前端の一部分だけを関ステッチで表に留めてる格好になります。 故にその隙間からは服の内部を簡単に覗けます。 分かりますか、もう感覚としてはテロテロのナイロンで仕立てられた独立型ライニングがもう1着重なってるような感じ。 で、裏地が変な付き方してるレザー本体の裏面も面白い。 前端の裏面、アロハシャツの見返し始末みたいにゆるっと折り返してボタンホールステッチによって折り返しを留める仕様。 で、その身返し部分の裏面にも綺麗に裏地が縫合されている。 ここが一番ヤバい。 圧倒的な縫製力というか、如何なる手間をも厭わない尋常ならざるアトリエパワーを感じます。 その結果生まれるのは、前端を二重に作るという暴挙。 革同士で前端の身返し始末をしているのに、その完成形を一枚のパーツと捉え直し、もう一回内に折ってる。 こんなのもう暴挙でしょう。 これを可能にする技術、 これを断らないアトリエ、 これを成立させる革質、 これを面白がっていた世界、 全てが素晴らしくキラキラしています。 眩暈するくらい凄い服。 重たいレザーであると同時にシャツみたく軽やかな不可思議ワンダージャケット。 ちなみにオリジナルのフルチェンジボタン仕様。 右前にも左前にも、拝み合わせにも変えられます。 Made in ITALY SBC_Zip サイズ表記- 肩幅:60 身幅:61 着丈:80 袖丈:60 裄丈:91
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