洋服解読所













80's MOMENTODUE Diagonal-Front Pure Linen Wide PT
¥36,000 税込
残り1点
イタリア随一のコートレーベルにして、数多のデザイナーズファッションの製造を支えたALLEGRI。
このレーベルは我々がデザイナーズレーベルをアーカイブする上で非常にお世話になりますね。
様々な先鋭的デザイナーをゲストに招聘し、あわやキュレーション的とも言える感覚で世界観を刷新し続けたレーベルでもあります。
このタグ(ライン)はM&FGの2人をデザイナーに招聘したダブルネーム。
「Contemporary Suit」
とタグに銘打たれたように、“現代的”なスーツというのがコンセプトです。
(アレグリのコートはスーツの上から)
さて、「現代的」ってのは、それが作られた時代によって全く様相が変わってきます。
このラインは80年代ですから、ここで言う「現代的」ってのは60-70年代を相手取ってのポジションワードでしょう。
世界大戦が終わり、アメリカの時代になり、各地でフラワームーブメントが興り……なんて、その頃のメンズ服。
ウィットより男らしさ。
確信より伝統。
保守保守。コンサバティブの迷宮。
市井にまで届いた革命といえばTシャツが下着の枠を出たくらい。
メンズのファッションなんてこんなもんです。
これに対して発生する大小様々な、バリエーションに満ちた80年代のハイファッション革命。
レディースより少し遅れて始まるメンズ・プレタポルテの開花。
品質の多寡よりも、如何に目新しく面白いか、にもウエイトが割かれた時代。
ファッションの面白さがメンズにも開かれた時代。
ここ目線での「現代的」です。
当然のように機知に富んだユニークなカッティングで仕立てられ、生地分量は贅沢にタップリ取るワイドシルエット。
ピュアリネンで仕立てられたこのパンツは、前中心の縫い目を斜めに倒した設計。
そして倒した前端からベルトを延ばしてアジャスターと接続、そこでウエストを引き絞る構造。
M&FGが80年代のシグネチャーでも多用したフロントの構造的クロスオーバーを引用していますね。
しかしこのパンツの面白いポイントと言うのは、厳密には「クロスオーバー」をやっていないという点。
“重なっていない”のです。
ただ中心線を斜めに倒しているだけ。
だからファスナーも斜めに付いてるし、型紙も最初から傾いたまんまの形。
ファスナーで留めた先、ウエストベルトより下の位置でボタンを2つ表出して「ファスナー×ボタン」みたいな雰囲気を出してます。
さて、ファスナー付けるなら途中でボタン要らないと思うでしょう。
でもこれ機能性がどうこうとは別。
「フロントを斜めに倒した」というディテールを強調するための視線誘導デザインなんです。
前中心が斜めに倒れて、その先に共布ベルト/アジャスターがあったとて、その上から別のベルトを巻いてしまえば全然見えませんからね。
そうなると、傾いたステッチだけじゃアピールに足りない。
そのソリューションとして置かれたボタン。
この時代を端的に表すとするなら
「このアイデア見てくれよ!!」の時代、です。
存分に宿しながら、次は2020年代目線での「現代的」にも使い回しやすい、比較的オーソドックスなビジュアルバランス。
ドカンと太いワイドシルエット×上質なリネンのトロトロドレープ。
ヨウジのそれより幾分真面目さの垣間見えるビジュアル。
ボトムスにパワーが欲しくなる夏場は勿論、ライトアウターが楽しめる季節になっても、こんな完璧なワイドパンツあればあるだけ良い。
Made in ITALY
サイズ表記50
ウエスト:87~84
ワタリ:42
股上:38
股下:86
裾幅:19
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