JOE CASELY HAYFORD Sheep-Skin Cargo JK

＊これもカルテ・カルテに掲載した服です。
＊テキストは基本的にそこからの引用。


越境者。

このデザインに勝手につけたサブタイトルであり、このデザイナーに勝手に感じているサブタイトルでもあります。



いかがでしょうか、ぐるりと腰一周。

サイズも仕様もバラバラに作られたポケットオムニバスの整列。腰だけで5ポケットです。
アシンメトリー上等。

ミリタリの再解釈、なんて切り口でそれこそ同時代のデザイナーズシーンで出てきそうな空気でもありますが、これが

あえて歪に表面加工されたシープヌバックでのフィニッシュともなればもたらしてくれる昂揚感は全くの別物。

見目にも既にラギッド、写真だけでの先行イメージなんて尚更でしょう。
それが実物では180°真逆、渾身のコンフォーダブル。
ともすれば優美に感じられるほどにソフトで滑らかな、底抜けにやさしいレザーウェア。


レザーを着る。

ええ。
そうなんですけれど、このジャケットを着ることはバッグを持つことに近いです。


おおよそ何でも入る5ルームのバッグを腰に巻く。

そのバッグに、身頃が付いてて襟が付いてて袖が付いてる。
すごく大袈裟で、僅かなザラつきを虫眼鏡で覗き込むような解釈ではありますが　そんな得意な着用体験を宿したクレイジーピース。


バッグとジャケットら異なるカテゴリを跨ぐ越境者。


鞄と上着
ラギッドとソフィスティケート
それぞれの持つ記号性を多角的に 深刻に理解し異なる要素同士を巧みに融合させ再構築する編集的なデザイン作業は、この洋服以降、現代に至るまで発展し続けていますね。

もう再び作られることの無いこのレーベルは、以降のクリエイションの繁栄、もとい多様化に　決して大きくはないながらもどうしようもなくクリティカルな影響を与えていることと思います。



Made in ENGLAND
サイズ表記S

肩幅: 38
身幅:48
着丈:66
袖丈:59