洋服解読所



















2006A/W JOHN GALLIANO M-Notched Design Tailored Coat
¥52,000 税込
SOLD OUT
プレタでこのディテールと出会うことがあろうとは。
19世紀初頭、産業革命後のイギリスにて発生したカッティングそのものによる装飾、その一端を色濃く映す極めてニッチなディテール。
Mノッチ。
このディテールをご存知の方の8割ほどは、衣服標本家の某氏(名前出すのも恐れ多い)のご紹介が最初ではないでしょうか。
斯く言う私もその1人です。
ご興味湧かれた方は、是非ご本家様の解説/解読をご覧ください。レベルが違いますので。
さて、J.G.06秋冬。メンズコレクション。
混沌を極めておりました。
クラシカルなディテールが使われているからといって、その時代だけがモチーフになっているのではありません。
ガリアーノらしいクラシックな古典浪漫から、ハードなセクシャルテイストも、パンクエッセンスも、兎に角複雑に入り組んだ圧倒的なビジュアルメイクでした。
そんな中目立ったのは、ジャケットの裾を大きく捌けさせてレイヤードを強調するスタイリングと、細身のパンツでのバランス調整。
肩線を撫肩になるよう設計したり、胸クセダーツを大きく取って鳩胸を構築したり、Mノッチと同時代に多く見られたクラシカルなボディ・コンシャスが副次的に齎すのがこの「大きな裾捌け」です。
前述した設計で前を開けると裾が大きく外に逃げるんです。
この服ではある程度抑えられていますが、ただ好きなモチーフを混ぜ込むのではなく、其々のエッセンスが持つ特性を熟知した上で最終着地点に効果的に噛み合わせるこのデザインスキルは正に天賦の才覚。
言わずもがな、袖の前振りや内巻きもハードに効いています。
袖口にはルダンゴトやアビ・ア・ラ・フランセーズに見られる豪奢な袖口ターンナップの名残が浅黒いベルベットで。
紳士服における古典浪漫を未来的に再編集したデザイン。
また、もう一つニッチなディテールの話をしますので聞いてください。
写真に写しづらい部分ですので、テキストが無いと見過ごされると思います。
左前身頃のフロント、中心ほどに同色で入ったポケット型ステッチ。
これがまた猛烈に渋い。
これ実際この位置にポケットなんて無いんです。
トロンプルイユです。
古いジャケットのポケット位置を極めて表面的にサンプリングした、あまりにさり気ない一手。
この表面的なトロンプルイユによって決定づけられるのは、このデザインが懐古ではなくあくまで創造である点。
並びに(当時にとっての)現代社会を映す、極めてモダンなファッションのデザインであった点です。
このデザイナーの仕事がただハードでラディカルなだけではない、様々な要素をテクニカルに取り扱った繊細なものであったことは、こうした重衣料になればなるほど見えてきますね。
見ての通りのスペシャルピース。
重厚で精悍なビューティフルコート、そろそろご気分に合われるのでは。
Made in ITALY (GIBO)
サイズ表記46
肩幅:48
身幅:55
着丈:87
袖丈:68
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¥52,000 税込
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