YSL RIVE GAUCHE Stitches_Decoration Design Nubuck_Leather Tailored JKT

「スエードやヌバックの触り心地」

って

オノマトペで書き表すならどんな感じになりますかね。


ザラザラ？

いやでもこのジャケットはそんな粗い感じのラフなテクスチャじゃないんですよね。


ザリザリ？

いやいやそれもなんか鮫肌みたいで違う。
もっと肌理細かくってソフトなんです。


しとしと？

雨かよ。
いやでも、平仮名でのコレが一番近いのか？
暫定的に、こう書きます。


スエードと違って、既に綺麗な銀面にバフ掛けして作る質感ですから、銀面だった頃の滑らかさが根底にある様に感じます。

「しとしと」とした肌理の細かい上品なヌバックレザーで仕立てられたテーラードジャケット。


テーラードジャケット、と言えども
コレが中々に変則的。


ボディは50-60年代のクリストバル･バレシアガを思わせるような構築的アンフィット。

身頃も襟も、身体に沿わせ過ぎないカッティング。


そこに現代テーラードジャケットのフォーマットからは大きく外れる大振りなパッチポケット。

この大きなポケット使いはポケットそのものもビジュアル装飾パーツの一つとして巧みにドレーピングしたクチュリエ達のセンスを感じます。


そして最後、各所エッジにアール・ヌーヴォー調の飾りステッチを走らせてフィニッシュ。

＊レザーアイテムへの飾りステッチはやり直しが効かないので圧倒的な習熟が求められます。


紳士服という大きな括りの中でも看板となるアイテム、「テーラードジャケット」ですが、それを西洋的美意識の集積をもってして飛び切りフェミニンに、女性のために再編集した婉麗の粋。

イヴ・サンローランからリリースされるに相応しい、看板に恥じない極上のジャケット。




内側は半裏仕立て。

コーヒー豆とかを詰め込む“ジュート”を模したデザインファブリックが採用されています。
ジュートはガサガサした質感で、とても洋服の裏地には使えませんが、ここでの裏地はこんな見た目なのに頗る滑らか。
ちなみにポケット内側はピュアシルク。

着用者以外には見えないであろう所も、抜かり無く創意が凝らされています。


内側に工場のオリジナルタグが無いので同定が難しいですが、恐らくエディの後任、ピラーティの仕事かな？
作風的に。


Made in ITALY
サイズ表記36

身幅:49
着丈:49
裄丈:82

・ラグランスリーブですがカーブの効いた2枚袖なので、明確に適正肩幅があります。実際は36~40くらいの肩幅の方に。

・ラペルエッジにごく小さな汚れあり