洋服解読所




















c90's MARITHE FRANÇOIS GIRBAUD / SPORCITY Crazy Cutting French Work JKT
¥56,000 税込
SOLD OUT
ジルボーのクレバーカッティング。
良くぞここまで。
本当に最高傑作と称したい。
ジルボーの最高傑作、いっぱいあるからアレですけど。
クレバーとクレイジー、あろうことかその両方を冠する天才のカッティング、畏れ多くもご紹介します。
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土台となっているビジュアルの雛形は古い古いフレンチワーク。
レーヨン混じりのしなやかなコットンドリルにハードなサンフェードが入った、ダーティな個体。
そこからカオスなエッセンスミックスが始まります。
フロントは共布ループとメタルボタンでのボタンボールシステム。
襟は綺麗な立ち襟。
マオカラー。
フレンチワークのぺたんこ襟を気持ちよく裏切るちょっと以外なディテールチョイス。
ワークジャケット由来とだけあって、脇下のガゼット使いなんかは、新鮮でありながらもルーツに即したディテールデザインですね。
そこのガゼットパーツにさえも、変な加工を入れたダーティな生地を使ってるのが非常に魅力的。
そしてサビ。
肩周りの型紙設計と夥しい密度のステッチワーク。
上手く説明するのが難しいんですが、
結論からなるべくシンプルに書くと
【袖と身頃をシームレスに繋げてるのに、本来シームが入る位置に多重ステッチを掛けて基本的な型紙設計を“偽造”したカット】
です……。
う〜ん、伝わりにくそう。
でも構わずいきます。
身頃から切り離すことなく地続きの袖。
生地幅の関係上、肘上くらいで切替線が入ってはいますがアームホールにシームを入れない挑戦的なカッティングは面白いですね。
で、折角そうしてシームを排したユニークなカットを決めたのに、排したはずのシーム位置にガガガガガとステッチワーク。
「本来こんな位置にシームがありますよ」
と言わんばかりの。
このジャケットの要所要所に入るこのステッチワーク、襟とかポケット口周辺とか、裾とか、“芯材”が要る箇所に芯材代わりに(又は増強的に)入ってるんですよね。
そしてこれ、上述したアームホールでの捻くれた遊びを自然に馴染ませるためのデコイ。
肩先だけに入ってるとすぐバレるけど、全体的に入ってたら目立ちにくいよね、という。
……いやはやなんてプレイフルなのか。
で、このデコイによって
「アームホールシームがそもそも無いんか〜」
って認識して、改めて見直すと………、
いや、ある!
多重ステッチに隠れて、後ろアームホールだけ切り替えシームがある!
どうなってるのか。
つまりこの型紙、前身頃と袖の上腕部だけが地続きになってて、後ろはちゃんとジャケットとしてオーセンティックに作られてるのか。
さっきのデコイはこの裏切りへの呼び水。
二重伏線。
洋服でこんなことすんな……。
文章だけで伝えようとするの、やっぱり難しいですね。
なかなか時間が掛かっちゃいました。
このクレイジーディテールだけは、ポップアップに出品する前に、どうしても書き残しておきたかったんです。
御来場いただける方は、是非実物をその眼で見て、楽しんでください。
そして試着してみてください。
パターンワークの楽しさの2倍くらい、
超カッコ良いので。
Made in ITALY
サイズ表記44
肩幅:44
身幅:52
着丈:68
袖丈:63
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¥56,000 税込
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