CONNECTERS Off_White Cotton Tailored Coat

変な生地を使って綺麗に仕立てられたステンカラーコート。


雛形こそコンサバティブを踏襲しているものの、作り手のアティテュードがそれと逆を向いているのはどこを見ても明白。



じゃあ例えば生地から。



コートってのは「アウター」
“OUT”er ですから、大抵の場合その日のスタイリングの1番外側。外套。

身を護るような“丈夫な生地”ってのが
1番採用されやすいカテゴリです。


このコートの形ならバーバリークロスやギャバジンが定番でしょう。



そこに天邪鬼にも甘織りのガーゼを採用。

ガーゼ。
傷口に当てがうような生地。
痛々しい裂傷が唯一許す、限り無く柔らかい布地。

で、
それを何重かに織り重ねて最低限のボリュームを作り込んだファブリックデザイン。


それが裏地無しの一重仕立てな訳ですから、その着用感のユニークさったらない。

カーディガンとは全然違う、まあ、言うなら全然「コート」の範疇なんですけれど、この素材使いに感じる独特の反骨精神は作り手のルーツを知っていれば一気に腑に落ちる。


このコネクターズを設立した富樫デザイナーはアンダーカバーの元アシスタントデザイナーです。

正式には’92年からの参加ですから、かなりの初期メンバー。

(アンダーカバーが用いた初期作品にも“ガーゼ”は象徴的に用いられていますね。)




そして比翼仕立てのフロント前立てには
またしてもコンサバティブと真逆を向いたメッセージプリントが鎮座します。




【GIVE THE WORLD THE BEST YOU'VE GOT ANYWAY.】

【とにかく、あなたが持っている最高のものを世界に提供するんだ。】


なにか反骨めいたメッセージが入っているのかと思いきや

“クリエイションをやる人種”を奮い立たせるような金科玉条でした。



タトゥーにして残したいようなテキストですが、つまりそれはそのメッセージデザインが「観測者」じゃなく「着用者」に向いている事を示します。


今から40年前にキャサリンハムネットが洋服にメッセージをプリントして一斉を風靡しましたが、アレが市民権を得た理由として

【言いたい事がある】
ってのを第一として

第二に
【忘れたくない言葉がある】

ってのも理由としてあると思うんです。



彼女が作ったTシャツはアウターで隠れる季節ですが、そんな中でも装いの1番外側で頼もしく輝いてくれるメッセージコート。


かなり厳格なテーラリングの元美しく設計されています。
着用時の美しいシルエットは勿論のこと、非着用時の過激な前振り袖からもその色香は上り立ちますね。

コンセプトに負けない、洋服としての“作りの良さ”が嬉しい。

Made in JAPAN
サイズ表記M

肩幅:43
身幅:48
着丈:87
袖丈:62