2005S/S CHLOÉ by P.PHILO Irregular Waist Cut Glen_Check Cropped PT

雑な括り方になりますが


クリエイション、

ラフに言えば“サラ着”、
新しいファッションをデザインする人のそれってのは

幾つか
分類出来るもの　があるように思ってて

その中での大きなものが

・思い出投影型

・風景再現型

・破壊型

なんかだと思ってて

フィービー・フィロによるクロエでのクリエイションは断然２番だと思うんです。



雑な括り方になりますが

風景の再現。



CSMでの学生時代(ロンドン)と
ステラに手を引かれ向かったクロエでのアシスタント時代(パリ)。






ロンドンとパリのリアルなストリート感覚。



それは
「個々人のお洒落」
というよりも

もっとプリミティブに
「風景」としてDNAに刻まれたものだと思います。

そこに沸るエネルギーや洒落、創意やスノッブ、色んな感覚が風景として宿ったそのクリエイションは


兎に角　写実的。




今回のクロップドパンツなんて
正にこの文脈で読み解きたい洋服のひとつ。




極細のグレンチェック、薄手のウール。
裏地は無しの軽やかな仕立て。

ヒップに引っ掛けるローライズ仕立てで
足首を見せるレングス設定。


クラシックな要素をカジュアルなデイリーウェアに懐柔しようとするリアルファッションの空気感。

生地の印象ってのがやっぱり洋服に於いて1番前に出て来ますからね、それをあの手この手で組み敷く訳です。



本来はお洒落のプロセスとしてある試行錯誤や感覚の閃き、そういった物を最初から洋服にバランス良く詰め並べたデザイン。




こういう服作りする時に気になるのが

「それ古着で良くない？」

という視点。





でもフィービーの服はそうならない。

洋服の脇役として差し込むディテールアイデアがユニークで新鮮だから。
絶対に 「過去には無い服」 だから。



このパンツで言うと

フロントのウエストの仕立てから
フロントポケットの仕組み構成までの部分。





先ずボタンフライの比翼仕立てを取り払い、ボタンフライを露出。

そして70'sライクな ポジション/方向 にポケットをセット。
(ここには70'sっぽい、80'sとは別種のキッチュな野暮ったさが含まれてるけれど、両玉縁仕立てにすることでチープに落とさない。)


で、なんとこのポケットがフェイク。（笑）


左右のアウトシームに配されたセットインポケットが本命。

ここでニクいのが
その両者のポケット布、スレキはそのポジションを完全に同一にしている点。

気を付けて
注意深く見ないと、「ただ仕付け糸を解いてないだけか」なんて勘違いして洋服を破壊しかねない。


意地悪です。
たまらないですねこういうの。
ここだけ偏見で物言いますが






パリっぺぇ〜………








如何でしょ、

簡単に文章で
「英国らしいクラシックな要素と パリらしい軽快な感性の融合です」
なんて書くの憚られる程には、複雑なイメージ要素の複合コラージュであることが

少しでも伝われば幸いです。






で、
こうした「風景再現型」のいいとこってのが

「兎に角合わせ易い」
ってところ。

フィービーのユニークなディテールアイデアも重なって、
「組むのが簡単で洒脱だけど決定的にユニーク」ってアウトフィットが完成します。


フィービーが手本取ったロンドン/パリの洒落者達(本人含む)を夢想しながら、当時のイットガールならどう着るのかな、なんて気持ちで楽しんでください。



拙いながら僕の回答もスタイルサンプルとして置いておきます。


Made in FRANCE
サイズ表記 36

ウエスト:74
ワタリ:30
股上:27
股下:60
裾幅:17.5