洋服解読所















80's BALL by M&FG Technical Cutting Modified Jeans
¥30,000 税込
SOLD OUT
“ヨーロッパに吹いたアメカジの風”
オーセンティックな製造水準を大前提に据えた作りの良いハイカジュアルにも
・それを真っ直ぐに追う者
・それをスノッブに躱わす者
2つのフィロソフィーがありました。
そこでは第一に
Best Companyなんかに端を発する
「イタリアから見たアメリカ」像があります。
これが「追う者」のフィロソフィー。
基本この時代のイタカジって言うと“そう”なんじゃないの、と思う勿れ。
これをメインストリームとして、それを巧みに躱して飄々と未踏を駆けるスノビズムが隣国に存在します。
別にここで初めて出るような珍しい名前ではありません、殆どの方がご存知です。
“Marithe Francois Girbaud”
(以下M&FG)
このレーベルのクリエイションにおける特筆すべきユニークポイントである「オリジナルカッティング」を突き詰めるジルボー。
総合的なイメージディレクションや外交を請け負うブレインポジションのマリテ。
さあ、ここにもう一人、要人の名前を足します。
“Aldo Ciavatta”
こっちの文脈はこのイタリア人無しに語れない。
……こともない。
まぁ早い話 M&FGを世に知らしめたディストリビューター。
そしてCFMのボス。
古いジルボーをお持ちの方は内タグにある「CFM」の文字をご覧になったことがあるでしょう。
この気鋭のビジネスマンが敷いたレールが
この【BALL】というレーベル。
このBALLでデザインを務めたM&FGは
後にCLOSEDをはじめ
なんだかんだ10個近いレーベルをここから派生させていきます。
その始祖となる このBALLこそが
ヨーロッパに吹いたアメカジの風を“躱わす者”となります。
(逆張り”じゃなくあくまで“躱わす”)
さあ、この個体なんて特に面白いんじゃないでしょうか。
ベースは、Ciavattaが発明したストーンウォッシュ加工のデニム。
そこに、歴代オーナーの誰かがクリース入れて履いてたのかな?クリースラインに沿った色落ちが見られます。
加えて、ポケット口や後ろ裾のナチュラルなリアルダメージ。
そして大トロ。
フロントポケットの中に「タック」を入れ込んだ奇天烈なカッティングアイデア。
初めて見た時は笑ってしまいました。感激で。
そんな発想があるのか、と。
そもそもそれは物理的にディテールとして成立するのか?と訝しみもしました。
多分、通常のデニムパンツ製図の際にポケット構成に隠すマニュピレーションを一切隠さず表出させる、という感じの思考回路でしょうか。
-----ココトバシテモok
マニュピレーションを入れずに縫合した身頃は必然、余るべきでない分量が余ってしまいます。
しかしポケットセクションで無理矢理タックを入れることでその分量をコッソリ回収。
結果として、普通の2タック分のボリュームがポケット入口にふわっと正しく発生する。
って感じか。
そのボリュームのおかげで、ポケット入口を半回転させて縫製して、入り口にさり気無いカオスをも隠してる……。
(IGに動画載せますね)
-----
しかしこのアイデアの確度はえげつない。
水平思考の豊かさと、その思考クオリティが成す凄技。
しかもこれ、ポケットセクションのタックシームのついでに副産物としてコインポケットまで作ってる。
なのでこれ、こんな見た目ですが歴とした
「5ポケットジーンズ」なんですよね……。
まじか……。
常人離れしたアイデアにマスターコードまで絡めてくるのか……。
本当に面白い。
この辺りのカッティングの妙は
フランソワ・ジルボーのエスプリですね。
時代を追うにつれ、
0を1にするクリエイティブなカッティングから、アナトミカルを旨とする装飾的なカッティングに変遷していきます。
私は前者のジルボーの、こういう根本的な部分を捻るカットがとても好きです。
彼がやらなかったら生まれなかったであろう創造だからです。
Made in ITALY (CFM)
ロケットYKK
サイズ表記46
ウエスト:73
ワタリ:34
股上:36
股下:76
裾幅:17.5
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レビュー
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