洋服解読所



















2008'sINHABITANT Hologram Pattern Tecnical Snow JKT
¥21,000 税込
残り1点
いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひたまひける中に、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めきたまふありけり。
世界三大古典のひとつ
「源氏物語」。
日本史に輝くキングオブクラシック。
現在2024年。
成立は1008年。
この成立1000年記念となる2008年に
文学的イメージとは半ば反対に位置するアクティブウェアレーベル、
INHABITANT / インハビタント
よりリリースされた個体。
朝顔にも夕顔にも
はたまたハイビスカスにも見える
多分フィクショナルにモディファイされたフラワープリントの総柄。
華美にキラキラ、という趣ではありませんが
ドレープの角度によって強い陰影コントラストを生むペールブルーのシェルファブリックにトーンオントーンで花が踊る様は朧月夜のよう。
なんて 少しこじ付けがましい例えですかね。
それにしても、この手のアクティブカテゴリでこんなモチーフを取り扱うというギャップが堪らなく愛おしい。
もっと分かりやすいアプローチはこのレーベルに限らず幾らでも存在しそうなもの。
それこそ平面的な製図のコートの背中に刺繍をあしらったり。
当時はそういったベタと距離を取りたい数寄者のアウトフィットを彩ったのでしょうね。
この文脈に古典文学を持ち込むという先鋭的なアプローチは、この個体のデザインに携わったBONZAIPAINTによるもの。
内タグや外付けの大型ピスネームにも源氏物語を強く匂わせるグラフィックデザインが散りばめられています。
ピスネームには冒頭にもある
「やん(む)ごとなき」の文言が草書で筆記されています。
直接的ではあるものの、
分かる人がギリギリ分かる程度のさり気なさ。
こんな素敵なビジュアルディレクション。
肝心のスノージャケットとしての機能群はどうかと目を向けてみると、そこも文句無しのハイクオリティ。
様々な角度に動かし易い、可動域に富んだ袖付け/パターン構成。
フードや袖口を始め、各所好きにテーパード出来るアジャストシステムの山。
地厚なジャージーで仕立てられたインナーカフにはサムホール。
(そのサムホールにレイヤードするサムストラップまでデザインされてる)
各所のジップポケットも防風性と目新しさを両取りするオーバー両玉縁。
オーバー両玉縁ってなんだ?
この服以外で見る事殆ど無いと思いますし覚えていただかなくって結構。
これ、ジップの務歯部分を覆う玉縁布同士が大きく迫り出し合って本来の領分を超えて重なってしまっているんです。
それをさり気無くアピールするように、その両玉縁布は其々にカラーコントラストを付けてる。やらしいですね……。
内側のポケットシステムもとんでもなく大容量。
機能を装飾としてでなくちゃんと機能として大切にしています。
500mlのロング缶も入るくらい大きい。
スノーウェアなのでインナーベルトも残っていますが、そこまで寒くない環境で街着にするなら外しちゃった方が快適かもしれません。
インハビタントがこの古典をゲレンデに連れ出したように、次は我々がこの服を新しいストリートに連れて行ってあげたいです。
サイズ表記M
肩幅:52
身巾:62
着丈:75
袖丈:68/74
全体的に若干の使用感/薄汚れあり
-
レビュー
(314)
-
送料・配送方法について
-
お支払い方法について
¥21,000 税込