ZUCCA '05F/W White Alpacas Ex_Long Hairy Pile Short_Body JKT

Zuccaの2005秋冬より、高潔なノーブルホワイトのロングファージャケット。


アルパカのキューティクルがツルッツルで滅茶苦茶美しい……。


ファージャケットの概念を少し覆す……というか、

私自身勝手にイメージを固定していた
「ファー=毛皮」という構図。
これを巧みに潜り抜ける「例外」の生地デザイン。



というのも、これはアクリルとナイロンで組んだグランド(基布)にアルパカヘアを植え込んだような生地構成。

グランド:パイルの関係ってのは
シースルー生地とかの基布に柄乗せとしてベロアを乗せるようなものばかりだと思っていたんです。

アルパカとかの長毛繊維を、「根本の毛皮ごと」ではなく獣毛部分だけを使うという優しいアイデア。
こんな事が出来るんですね。

(植え込んでるのか、どうにか接着しているのか、そのメカニズム自体は分かりませんでした)


そうして作られたフェイクともリアルともつかない半真半贋のファーマテリアル。


“景気の良い時代”を思わせるボレロライクなシルエットでの仕立て。

しかしこのファージャケット、その毛で隠れて見えないけど根本的なカッティングシステムがとってもユニーク。


身頃から地続きで袖を作って、脇下にはピボットガゼットを切り替えたスポーティな設計。
このビジュアルにその構造を！持ってくるのか！

巧いな〜〜……。

リアルファーレザーじゃ、用尺の問題で実現の難しいカッティング。

動物の個体差を無視して自由に裁断できるニューマテリアルだからこそ実現したカットですね。


また、ボタンデザインなんかもアイロニカルで面白い。
“景気の良い時代”の空気を上部だけ踏襲して豪奢に飾り立てたフェイクボタン。
実際の使途では裏側にイージーなスナップボタンを配置するという心憎いソフィスティケート。


60-80年代のミンクやセーブルを無理して引っ張り出して装いに捩じ込むのもまたストリートファッションですが、そのフローチャートすらをも根っこからデザインした素晴らしいファージャケット。

基布がレザーじゃないから劣化の心配も無いし。

これぞデザイナーズブランドの仕事。




Made in Philippine
サイズ表記M

身幅:56
着丈:52
裄丈:72

右袖口の一部のアルパカヘアだけちょっとダメージを受けてます。
潤いが抜けてる感じ。
ヘアアイロンまでは怖くて出来ていません。

あまり目立ちませんが、ご留意の上ご検討くださいませ。