洋服解読所

















1994F/W ZUCCA Inside_Out Mix Seem Design Garment_Dye Cardigan
¥16,000 税込
SOLD OUT
1994年、まだイッセイミヤケ社のグループブランドだった頃のZUCCAです。
丁度30年前の服ですね。
ザ・カーディガンって感じの、上品な薄手ウールニットをガッツリ製品染め。
タイダイとかと比べると全然均一に染まってるように見えますが、要所要所で不自然にムラがある感じ。
これ見よがしじゃない控えめなバランス。
フロントは狭い丸首のボタンオープン。
ここだけ聞くと清楚なカーディガンなんですが、前端はリブ襟切り替えに仕舞い込まずに表出させて切りっぱなし。
控えめながら脱構築の香り。
ただのお上品カーディガンにはなってくれない。
なんて思ってたら袖でもやってる。
テーラードジャケットとは違う、前後でバッサリ切り分けた2枚袖のセットインスリーブ。
袖の中心に思いっきりシームが入ります。
洋服作りのセオリーで言うと、明確に
「美しくない」仕様選定です。
でも既存のセオリーに則った美しさじゃなく、それよりも表現したいことを優先するのがデザイナーの仕事。
この目立つ位置のシームでインサイドアウトを使ってるんですね。
それもただ前縫い代を外に出すんじゃなく
片方の縫い代だけを表出。
ご丁寧にエッジは軽く解れさせたりもして。
逆側、袖の内側に当たるシームではインサイドアウト使ってないので、あくまで脱構築性の強調を目的としたカッティングという訳ですね。
そしてこの位置にシームを入れた理由はもう一つ。
肩先の不自然なカーブがヒントです。
肩シームの直線から、袖が付く位置でその直線は下向きにカクンと角度を付けて落ちていくのが普通の洋服ですよね。
Tシャツとか着物以外は殆どがそう。
でもこの前後2枚に均等に別れたセットインスリーブでは、それを捻じ曲げられる。
袖の中心にシームを入れるということは、その袖中心でシームカーブの操作が使えるようになるんです。
これをしっかり使って、肩線を少し延長してるのがこの服。
既存のディテールで言うと
「2枚袖ラグラン」が近いかな。
「2枚袖ラグラン」ってのはラグラン袖の中心で2枚に切り分けて、そのシームで肩の丸みに沿ったカーブを作る仕様。
ラグランのくせに肩幅合わないと汚く肩が浮いてカッコ悪くなっちゃうやつ。
それをセットインスリーブで無理矢理やってるって感じ。
なのでこのカーディガンも肩幅合わないと2枚袖ラグランみたいに変な浮き方します。
具体的には、両肩先でそれぞれ2〜3cmくらい延長操作が入ってますね。
なので肩幅実寸は32cmですが、
正しい肩幅は36~38cmくらい。
(間取って37cmとしておきます。)
Own Wordsの方の映画でマルジェラ本人が語ったブランド最初のジャケットでは、【肩パッドを首方向に寄せて入れることで、人体の肩を外に出す】というディテール作りが語られています。
このカーディガンで行われている操作も同じ。
洋服上での肩位置を内向きに移動させることで
人体上での肩を(身頃の)外側に出す。
そんなカッティングです。
インサイドアウトのディテールチョイスとこれが重なると、やっぱりその影響ってのは強く香ってきますね。
製品染め加工から生まれる生地の不完全感もまたベクトルを同じくしているように感じます。
ジャストサイズで是非。
Made in JAPAN
サイズ表記M
肩幅:32(37)
身幅:46
着丈:50
袖丈:68(62)→(折り返すと57)
カッコ内が実際作用する寸法です。
分からなかったらDMください。
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