洋服解読所



















c90's K-WAY (EURO) Smoky Green Technical Cut Active JKT
¥17,500 税込
残り1点
フランスのレインウェアレーベル。
【K-WAY】
今はもっと広く、アクティブウェアレーベルって印象が強いかな。
その創業は’65年と結構古い。
こちらは90年代くらい。
製造国表記が C.E.E.となってるユーロ個体。
Central Eastern Europe
の略記で、中東欧諸国の意。
ドイツからロシア手前くらいまでの大まかな括りです。
先ずその色味が素晴らしい。
若干スモーキーな、ダルトーンのミントグリーン。
ライトウエイトとは言えレインウェアレーベルの出すアウターウェアですから、その色味ってのはその日のアウトフィット表面積5割以上を占めます。
色味そのものが武器になるくらいの良色じゃなきゃいけない。
そこの所100点満点、趣味の良い彩色です。
所々フェードがあったり、右胸には何かしらを置いて焼けたようなステンシルフェードがくっきり。
かなりパーソナルな使い古しです。
誰かがどこかで売っても
一発でそれと分かる個体単位での個性。
そんなのもまた愛おしいじゃないですか。
また、この個体の素晴らしさは色味だけに止まりません。
レインウェアというレーベルルーツに根差したユニークなカッティングの数々。
見ていきましょう。
先ずは袖設計から。
これは多くのレインウェアに共通するんですが、現在トレンチコートというカテゴリで持て囃されている【一枚袖ラグラン】という袖設計がありますよね。あれと狙いを同じくする構成です。
一枚袖ラグランは「袖の外シームを無くす」設計ですが、今回のジャケットは前後の身頃を繋ぐことで肩線シームそのものを無くす設計。
これで肩線から雨が染み入ってくるのを防いでいます。
そして袖付けによるアームホール切り替えはあるけれど、通常のセットインではなく、アームホール釜底を身頃から滑らかに繋いだシャツっぽい袖付け。
ドルマンスリーブに用尺の関係で切り替え線を入れたような感じ。
袖山は高さゼロ。
平置きしたら真横に一直線になる肩線です。
落ち感はラグランの一枚袖と同じ。
狙ったドロップショルダーというよりは
先ず最初に機能があって、
そこに時代による美意識が合致するという順番。
さあ更に
袖口も と〜っても面白いことしてる。
シームを使わず、袖口から切込を入れるスラッシュ仕様の袖口明きにマチを嵌め込む形式。
このマチが凄い。
袖口カフスの上辺と、対岸の下辺を繋ぐライン設計でのマチ製図。
何コレ。
畳む前提の袖口マチ。
それが畳まれた後どう収まれば美しいのか。
どう製図すれば最大限の効果を生むのか。
そこへの極めてクレバーなアンサーカッティング。
機能/快適性 を求めた先にある機能美。
肩周り、袖口、
加えて次はフードも良い。
3枚構成のフードのセンターパートはブリムだけが前に迫り出したカット。
そのブリムエッジにソフトボーンが仕込まれてる。
この素晴らしい副資材選定。
ワイヤーじゃないって所がニクい。
ソフトシェルを傷付けない範疇での形状保存を叶えています。
冒頭にも書いたように、
これはレインウェアレーベル。
このソフトシェルジャケットも、少なからず悪天候を見越しているはず。
そう、このフードは飾りじゃない、完全に使う日のことを想定して作られてるんです。
ブリムが完璧にブリムとして仕事をするように。
紋切型を転用してお終いじゃない。
ルーツを大切に、全てのディテールをルーツに根差した舵取りでデザインし切ってる。
アクティブウェアに宿る
名も無きデザイナーの情熱と機知。
素晴らしいデザインってのは
なにもモード服だけに宿るのではありません。
Made in E.E.C.
サイズ表記L
身幅:71
着丈:76
裄丈:88
セーターの上からでも余裕で羽織れるルーズボディ。
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