洋服解読所







L80-e90's GIULIANO FUJIWARA Toggles_Front Open Collar JKT
¥35,000 税込
SOLD OUT
Giuliano Fujiwara
なんて名前ですから、日本のブランドなのかどうなのか、初見では惑ってしまいます。
これは日本人デザイナー藤原喜章 氏がイタリアで設立したレーベル、というのが実態。
故にイタリア本国で製造したユーロオリジナルと、本品のように日本で製造された個体とが入り混じっています。
独立前はヴァンヂャケットで勤務されていたデザイナーですから、日本でのオペレーションも容易だったことでしょう。
故にこうした日本レンジを所謂ライセンス品、と一蹴出来ないのがこのレーベル。
何せ、どの個体も設計から縫製まで素晴らしいクオリティでデザインされています。
本品は軽めのウールメルトンで仕立てられたショートコート(又はジャケット)。
こうした重たい生地を使っているのに、夏に溢れる開襟シャツみたいなオープンカラー設計。
“こんな生地で”ってのが肝要。
ラペルの返りが核となるオープンカラーのアイテムにおいて、ここまで厚い生地を使って綺麗にラペルを返せるのは素晴らしい製図/縫製技術。
結果生まれるのは夏らしさ(開襟)と冬らしさ(メルトンとトグル)が同居した奇天烈なカオス・イメージ。
このイメージコラージュは素晴らしいデザインです。
破壊や退廃に頼らない、洋服に内在する記号同士のミックス。
そしてトグルロープの付け位置に注目しましょう。
コレらをボディに縫い付けるにあたって、ただの叩き縫いではなく身頃にシームを入れてその中へ縫い代を隠し込むようにしているでしょう。
ここで、身頃のシームは何故か「2本」入っているのです。
一本で事足りるのに。
おやおや何故だろう、と見直してみると1番上のトグルだけは使っているシームが違うじゃないですか。
1番上のトグルだけ、中心から離れた外側のシームを使っているのです。
これは既存のテーラードジャケットのシステムを踏襲した一手間。
ダブルブレストのテーラードジャケットは、フロントボタンの間隔が徐々にテーパードしていくでしょう。
あのフォーマットをトグルにも転用しているのです。
しかも、何ならゴージダーツも隠し込んでるんじゃないか…?
芸が細かいと言うか、思考が深いというか……。
ただのアイデア先行ではない、それを下支えする機転と地力が完璧に揃っている様を垣間見せるデザイン。
藤原デザイナーは実際のところ、トグルの実用性をあまり信用していないのでしょう、トグルの開閉機構の下には本物のボタンを隠しています。
(信用出来ますよね)
今回同時にリリースするニット仕立てのダッフルでも同じような機構でした。
今回一度にリリースする本人期のジュリアーノに共通しているのは、大人の余裕です。
前回ご紹介したニット襟のテーラードジャケットもそうでしたが、我先にとガツガツしていない。
クイズ番組で皆が早押しに心血を注ぐ中、誰も分からなかった問いだけを「じゃあいいかな?」と最後に答えるような。
その後で、「これだけたまたま知ってたよ」って言うんでしょう。
Made in JAPAN
サイズ表記M
肩幅:54
身幅:58
着丈:65
袖丈:59
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¥35,000 税込
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